梅毒がこっそりと忍びよってます。

内科

新型コロナウイルスの拡大の陰に隠れるように、梅毒の患者さんが増えているようです(梅毒スピロヘータとしては隠れている気持ちなんかないのでしょうがね)。

梅毒は梅毒トレポネーマ (Treponema pallidum)の感染によって発症します。らせん状でうねうねとしてます。

男性では 20~40 代が多く、女性では 20 代前半の割合が突出して高いです。TORCH症候群の一つでもあり、妊婦さんにも知っておいて欲しい内容です。

梅毒は性感染症あるいは胎盤を通して赤ちゃんに発症する病気です。

梅毒には顕症梅毒と無症候梅毒があります。顕症梅毒というのは何らかの症状のある梅毒です。無症状梅毒というのは何も症状のない梅毒です。梅毒は、第1期から第4期に向かって進行してゆきます。赤ちゃんのお話はまた明日します。

第1期

感染してから3週間の潜伏期を終えてから始まり、3ヶ月までの経過を言います。この時期は下疳と呼ばれる硬く、小さい円形の無痛性の潰瘍がみられます。通常は、単発で、ピザのような辺縁です。これは梅毒トリポネーマという病原体が体内に侵入したところ(主に生殖器)にみられます。

下疳は3~6週間持続し、治療せずとも治癒します。しかし、抗菌薬による治療をしないと第2期に進行します。この時期の患者は感染性が高く、妊婦では子宮内伝播することがあります。しかし、血清学的検査は感度が低いといわれております。

第2期

感染してから3ヶ月から3年までです。この時期には皮膚や粘膜に発疹がみられます。発疹には掻痒感はありません。赤色もしくは赤褐色の斑点が、最初は、特に手掌もしくは足裏にみられます。次第に、体幹やその他の部位にもみられるようになります(水疱以外のいろいろな皮疹を呈するので皮疹の形態からの診断は困難です)。

第2期には非特異的な症状のため診断が難しいことがあります。発熱、リンパ節腫大、咽頭痛、むらのある脱毛、頭痛、体重減少、筋肉痛、倦怠感がみられることもあります。その多様な症状のため、ウイリアム・オスラーから偽装の達人 (“the great imitator“) と呼ばれたそうです。

第2期の症状も治療せずに自然に改善します。しかし、治療されなければ第3期梅毒に進行します。この時期でも、妊婦さんは子宮内伝播する可能性があります。この時期は血清学的検査が有用です。

第3期

感染してから3年から10年の時期です。このときにはゴム腫とよばれる皮膚の腫瘤がみられます。更に進行すると第4期となります。これは感染後10年以降の時期ですが、脊髄癆(梅毒によって脊髄が侵される疾患)と呼ばれる症状を呈します。現在はここまで進行する患者さんは滅多にみられないようです。僕も見たことはないです。

神経梅毒

上記のような第1~3期に加えて、神経梅毒があります。第2~3期に多いようです。脳神経機能の障害、髄膜炎、精神状態の変化、聴覚や視覚の異常などです。

無症状梅毒

無症候梅毒は早期潜伏期(感染してから1年未満)と後期潜伏期(感染後1年以降)にわかれます。この時期には何も症状はみられませんが、血液検査にて梅毒検査が陽性となります。まあ、いつ感染したかはたいていわかりません。

梅毒の治療法

梅毒の治療はペニシリンです。4週間内服します。治療の開始後24時間以内に発熱、頭痛、筋肉痛がみられることがあります。これは梅毒スピロヘータがペニシリンで破壊されることによるものです(Jarisch-Herxheimer反応)。対処法としては解熱剤が用いられます。

治療後は症状と血清学的検査をフォローします(3か月毎、1年以上が目安)。HIVを合併していると治療に反応が悪い方が多いようです。

予防的な行動(感染しない)が最も重要ですが、早く気付いて治療を受けることも重要です。

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